福祉分野でも看護師のキャリアアップは可能

看護師のキャリアアップと言えば、実務経験を生かした資格として認定看護師や専門看護師が挙げられる。いずれも一定期間の研修を受けて認定審査に合格しなければならないが、多くの看護師がキャリアアップのためこうした資格を取得して医療現場での活躍範囲を広げようと努力している。特に、認定看護師の資格を取ってからさらに研修を受講すれば、特定行為という診療行為ができるようになる。特定行為では医師の包括的指示だけで医療行為が可能になるので、看護師の医療行為の権限が拡充されると言える。

ただし、専門看護師は大学院の修了が前提となるので、看護師なら誰でも実務経験さえ積めば受験できるというわけではない。看護師のキャリアアップはこうした医療業界に限らず、比較的簡単に取得できて役に立つ資格に注目が集まっている。福祉分野においても、ケアマネージャーの資格は看護師の実務経験が5年以上あれば受験資格を得られる。ケアマネージャーは高齢者や障害者を支援するケアプランを作成して介護サービスをコーディネートする重要な仕事だ。

また、老人ホームなどの収容施設から在宅に向けた自立支援を行う福祉住環境コーディネーターという資格も、看護師のキャリアアップとして人気がある。そのほかにも臨床心理士や医療環境管理士など、患者を周辺から支える職業にも関心が高まっている。そして外国人の来院・診療の機会が増える医療機関において、外国語の習熟の必要性も看過できない事態となっている。英語を学んで日本語を話せない外国人の患者とコミュニケーションを取れるようになりたいという看護師も増加中である。